Gotanda.Unity #11 (2019/3/27) で登壇しました

Gotanda.Unity #11 で登壇させていただきました。 (初登壇枠)

発表資料:

会を通しての所感

語彙力がないですが、とてもよい会でした。フリーテーマで自分の知らなかった分野の知見も得られました。運営の皆様にも大変よくしていただいてとても感謝しております。

Gotanda.Unity は長く継続して開催されている勉強会でかなり注目度の高い勉強会だと思います。そのような会に (少なくとも Unity 的には) ほとんど気にされていないと思われるようなネタで発表するのはいろいろ気が引けるものもあったのですが、自分的には HDR をもっと知ってもらいたいというのもあったので思い切って発表をしてみることにしました。

準備それなりにがんばったつもりだったのですが、思った以上に緊張して自分的には結構やらかしてしまった感が強い発表になってしまいました。結構削って時間内におさめたつもりだったのですが、緊張でいろいろ余裕がなくなってました。

今回、一応 HDR 信号に対応しているモバイルモニターを持って行って簡単な展示もさせていただきましたが、多くの方に見ていただいてお話もできて、 HDR に興味は持ってもらえたかなあという感じも得られました。反省点も多々ありますが総じてやってよかったなと思いました。また発表ネタがある時にやっていきたいと思います。

発表の補足など

説明が抜けてしまってたなあと思ったところなどの補足です。

HDR 出力向けのデザイン

HDR は明るいところには強い輝度を与えないとメリハリのある「らしい」絵にならない

というお話をしました。これは

  • 現実世界で見えている光は そもそも結構輝度が高い。
  • SDR では 1.0 をこえた値を指定してもみな同じ出力にしかならない。 1.0 も 10.0 も同じ 1.0 。
  • SDR で確認しながら調整すると 1.0 も 10.0 も違いがないので輝度が足りていないことに気づかない。

といったところがポイントです。

実際、 HDR レンダリングのプロジェクトを HDR 出力で見てもあんまりぱっとしない事が多いです。 HDR レンダリングといっても 1.0 を大きく越えない範囲で調整をしているためと思われます。最終出力が SDR なら SDR での見栄えに破綻がなければよいわけなのでこれは全く問題はないのですが、 HDR 出力を前提とする場合は現実世界に則った輝度設定をする必要があります。

こちらの中で写真が参考になりそうです。一枚の写真の中で、影は ~25nit くらいですが、空は 2000nit 、太陽光の反射は 10000nit と一つのシーン内でかなり輝度差が大きい場合があるのと、 100nit くらいでは「まぶしい」という強さではないのがわかります。

展示させていただいたデモですが、この Scene では Directional Light 一本だけの状態ですが Intensity をかなり強くふっています。

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ちなみに Unity の Demo Project ですと "Book of The Dead" は HDR でかなり綺麗な「らしい絵」が見れます。

HDR ディスプレイ

懇親会で HDR ディスプレイについてのお話を伺ったりしました。

HDR ディスプレイは本当にピンキリなので、できれば実物を見てから購入の判断をするのをお勧めしますが店頭展示を HDR で見るのは (テレビはともかく PC 用では) なかなか難しいと思うので多くの場合はスペック表での判断になりそうです。そこで私的なチェックポイントを列挙しました (優先度が高いものから) 。

また、スペック比較をされる場合は下記サイトがお勧めです。ユーザー登録情報と思われますが、カタログだけではわからない事も書かれています。

HDR10 に対応しているかどうか (必須)

HDR 対応と書いてあっても信号が HDR10 に対応していない事はありますので要確認です。 "Display HDR" と書かれている ("Display HDR 400/600/1000") ものは HDR10 対応です。

プロ用のハイエンド機は手動設定前提で HDR10 の信号に非対応なのもあり、こういったものは Windows 10 (の OS の HDR 機能) や民生機器には使えません。

パネルビット深度 (10bit 推奨)

"HDR10" となっているのでデーター的には当然 10bit なので 10bit のデーターは受けられますが、パネル側が 10bit ではなく 8bit で 10bit の表現ができないということがあります。ダイナミックレンジが広がった分、ビット深度も上げてより精細に表示できないと SDR より品質が悪くなるということになります。

また、 10bit だけど "8bit + FRC (時分割)" というものがあります。これは時分割で 2bit 分の表現をかせぐものです。ネイティブの 10bit より理屈上では表現能力的に劣ることになりますが、現在のところ 10 万円未満のものでネイティブ 10bit だったものは見たことありません。さらに低価格だと 8bit だけど "6bit + FRC" というものもありますが。

最大輝度はなるべく高め

輝度は高い方が HDR 感が高くなるのと、輝度を上げるのはコストに直結するので輝度が高い方が全体的な傾向として高価格高品質になるかと思います。よって一つの参考基準になるかと思います。

HDR 入力に対応している端子

HDMI のみ HDR 対応で DisplayPort での HDR は対応していない、っていうパターンが多かったので DisplayPort を使用したい場合は要確認です。 HDR は仕様上は DisplayPort 1.4 での対応となっていますが、 1.4 は転送速度向上による 8K 対応がメインで 1.2 の帯域で HDR を流す事は理屈上は可能です。ので 1.2 で HDR 対応は割とあります (私の使用しているディスプレイも仕様的には DP 1.2 ですが HDR 対応しています) 。

Skybox に使っていた画像

"HDRI Haven" さんのものを使わせてもらっています。